「昨日彼氏くんがさ~」「記念日って何あげたらいいと思う?」最近身の回りで急に増えてきた、”彼氏”の話題です。

「○○(私の名前)はどうして彼氏作らないの?」
「う〜ん、今はまだ1人がいいからなぁ」
「でももう別れて1年も経つんでしょ?そろそろ欲しくない?」
「気になる人がいたらね〜」
「あー、それなー。てかさ!この前……」

ようやく、私からターゲットが移りました。
いつの間にかぐっしょりと濡れていた手のひらを、制服のスカートに撫でつけます。

半年前に彼氏と別れたことも、今は彼氏が欲しくないことも全部、嘘なんです。
これまで1度も彼氏なんて出来たことはありません。
だけどそんなこと恥ずかしくて言えない高校2年生の秋。
最初から恋人がいた事がない、と素直に言えていれば、拾ってきた憶測の情報で、冷や汗かきながら恋愛相談にのることもなかったのに…。

正直彼氏は欲しいです。でも出会いがありません。いや、また虚勢を張ってしまいました。本当のことを言うと、私のことを好きになる人もいないだろうし、私が片想いしている人は、クラスの人気者すぎて手が届きません。告白したって付き合えないことは知ってます。馬鹿の高望みなんです。

だけど、もう数ヶ月もすればクリスマスがやってきます。来年には受験生。きっとJKとしてキラキラしたクリスマスを過ごせるのは今年が最後。何としてでも12月までに彼氏を作る!
私もイルミネーションをバックにした2ショット写真をSNSへ投稿したい!
2人で1つの半分こチャームを付けたい!
バイトの予定で埋まってる残念な手帳に1ヶ月ごとに大きなハートマークを書きたい!

身近に彼氏候補がいないのであれば、出会いを求めている人を探せばいいじゃない。
出会い系アプリを初めてインストールしてみました。ランキング上位にあった可愛らしいパステルカラーのアイコンのアプリ。
手汗でタッチする度に濡れる画面を拭きながら、プロフィールを入力。
プロフィール写真はプリクラの元の私とは別人の盛れてる私。

するとあっという間に3人ほどからメッセージがきました。
挨拶から始まり、お互いの趣味や好きな物を話す。正直楽しかったです。何よりも、相手が自分のことを知りたいと思ってくれていて、積極的に質問してくれる。すぐに返信がくる。
片想いの相手とのメッセージのやり取りとは雲泥の差でした。
自分から探しに行かなくても、たくさんの人からメッセージが来ました。

その中ですぐ近くに住む大学生と会うことになりました。
毎日やり取りをしていて好きな漫画の話で盛り上がってた人です。
実際に会ってみると、画像と顔はなんだか違いました。お互い様です。
だけど、話は盛り上がりました。色気も何もないオタクトークだったけれど。

熱中して、1時間くらい話していたかもしれません。
雰囲気が変わったのが、恋愛初心者の私でもわかりました。これが女の勘ってやつなのでしょうか。そもそもずっと、太ももや胸元に視線は感じていましたが。

夜の公園。明度の低い外灯の明かり。
結論から言うと、相手はそういう行為が目的でした。キスをしなければならない雰囲気を勝手に作られ、流されるのが嫌でやんわり拒みました。
その後は、微妙な雰囲気になり、解散。二度と会うことはありませんでした。トーク履歴は全部消しました。

私は”初めて”に対して、思っていた以上に夢を抱いていたようです。結局、その後のクリスマスは家族で過ごしました。いつもより暖かく感じました。

大学生になってから、やっぱりリアルの出会いの無い私は、もう一度すぐに恋人ができる20代におすすめの恋活で出会い系アプリを開きました。
私のことを好きな人と話したい。いつかそんな人と恋人になれることを夢見て、手のひらの汗をワンピースで拭いました。出会い